病院における検査の立ち位置

新型コロナウイルスに対するPCR検査が足りないと日本が批判を受けているという記事を目にします。

報道番組で学生を動員すべきだと主張するコメンテーターもいらっしゃって、私はこれに反対の意見を持っています。

検査をすれば新型コロナウイルスに勝てる、新型コロナウイルスが終息するという誤解があるのではないかと思います。

患者個々人でみている医療者と、患者をデータのひとつとしてしかみていないのではないかと思える報道者の認識のズレもあるかと思います。

ここでは検査の立ち位置について記事にしてまとめてみます。

検査は諜報部隊

病気との戦いはいわば

病気対患者とその家族、医療チームの戦争のようなものです。

検査はいったい何をするものかといえば諜報活動、つまり

①敵(病気)の戦力・状況を調査すること

②主役(患者)の状態を知ること

が検査の役割だと思います。

このふたつを指揮官(医師)に伝達することで患者が病気に勝てるようにチームとして作戦を練っていきます。

検査の役割はあくまで患者のための諜報

検査は目的ではありません。

検査をした結果をいかに治療に活かすかが重要なことです。

あくまでも個々人の患者のための諜報活動であり、社会に何かを訴えかけるためのものではありません。

安心のための検査にも意味がありません。検査で得た情報はあくまでそのときの情報です。病気との戦いは刻一刻と様相を変えていきます。

検査で得た情報と症状や医師の見立てと食い違うことだってあります。

患者ひとりひとりの人生が異なるように、検査結果も異なります。正常というのは大多数の人は正常と言われる数値というだけで、絶対大丈夫なんてことにならないのが医療の難しいところです。

どうしても絶対の情報を提供できない以上、安心のための検査ができないですよね。

その患者の治療方針を決定し、ともに病気と戦うための情報を提供することが役割であり、検査だけして終わりでは意味がありません。

敵にはこういう備えがある可能性がある、患者が負傷しているから危ないかもしれないと戦況に合わせた検査が必要なのです。

検査には技術と知識が必要

「絶対」はないと先述しましたが、医療者はなるべく「絶対」に近づけようと日々努力しています。

検査における「絶対」を目指すもの、それが「臨床検査技師」という国家資格だと思います。

検査は「医師」や「看護師」でも行うことができますが、「臨床検査技師」とは検査自体を行う技量や知識量が異なります。できることと、精度が高いことはイコールではありません。この点で学生の動員の論調には反対です。

諜報活動につかう検査には難易度が高いものがあります。そのひとつとして今話題の「PCR検査」があります。

この検査を難しくしている原因の中に「検体採取」や「コンタミ」というものがあります。

検体を正しく採取しなければ目的のウイルスを検出できず「偽陰性」に。

他の陽性患者の検体が少しでも干渉すれば「偽陽性」に。

現場ではほかにもいろいろと注意点があるかと思います。

簡易キットができた=精度が高い検査が誰でもできる とならないのが難しいところです。

この記事を書いた私の考え

冒頭で述べたように、マスコミによる報道は「他国は検査している!日本は検査が少ない!安心できない!」という論調が多いです。

多くの人が今の状態で不安を感じていて、それに寄り添っていると思ってみている方もいるかもしれません。

検査して陰性であれば安心するでしょう。しかし、相手はウイルス。患者自身の状態というよりウイルスという敵を検出することが目的になります。

相手の攻め込み具合によっては検出されないこともあるのです。

インフルエンザでも発症してしばらくしないと検出されなくて2回検査した経験がある方もいると思います。

既に検査法が安定したインフルエンザと違って、新型コロナウイルスはその名の通り新しい敵です。

簡単に「陰性です、大丈夫ですよ。」と言えないのです。

だから「安心のための検査」はできないと考えます。

また、陽性者の隔離のための検査という段階はもう過ぎ去っています。

これだけ全国的に感染者が出た状態です。隔離しようにも隔離する場所も設備も隔離者の生命を維持させるだけの人員もいません。日本は他国のように働き盛りの人口が多い国でもありません。

既にコロナウイルスとの戦いは速攻勝負ができず持久戦になっているのです。

それは国だけのせいではないと考えます。自身の都合を優先してしまう国民も少なからずいるのですから。

その上で、なぜどんどん検査しろという論調になるのか。どうにも国の対応の批判をしたくてマスコミが騒ぎ立てているようにしか私にはみえません。

今の日本の対策に不十分なところもあるでしょう。私だって不満くらいあります。

しかし、良い点もあるはず、それがあまり報道されないのです。

検査検査とにかく検査という、検査が目的になってしまっている報道を目にしてこの記事を書いてみました。


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この記事を書いた人=ハットラボ(ハットリ)

臨床検査技師、超音波検査士(消化器)、血管診療技師、認定認知症領域検査技師

ブログを3個運営しているブロガーでもある。

 

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